1945年3月9日、フランス領インドシナ。それまでフランスと協力関係を結んでいた日本軍が明号作戦と名付けたクーデターを起こし、フランス軍を一斉に攻撃した。からくも一命を取り留め、惨たらしい死体の山から這いずり出た若き兵士ロベール・タッセン(ギャスパー・ウリエル)は、森をさまよって意識を失ったところを地元の農民に救われる。
美しい自然に癒やされて回復したロベールは、フランス軍の駐屯地へ向かい、連隊への復帰を申し出る。彼の願いはただひとつ、兄夫婦を虐殺した敵への復讐を果たすこと。その敵とはベトナム解放を求めるホー・チ・ミンの補佐官で、日本軍の蛮行を見て見ぬふりをしたヴォー・ビン・イェン中尉だった。こうして隊列に戻ったロベールは、駐屯地で出会った兵士カヴァニャ(ギョーム・グイ)とともに、ベトナム人民ゲリラに斬首された神父の遺体を埋葬する。
熱帯の原生林が生い茂るベトナムの自然環境は、息苦しいほど蒸し暑く、フランス軍は険しい地形や体調不良にも苦しめられていた。しかも武装したゲリラが森のあちこちに隠れ潜み、一瞬たりとも気が抜けない。ある日の行軍中、突然の銃撃を浴びたロベールは肩と足を負傷してしまう。
病院での静養中、思いがけない人物がロベールを見舞いにやってきた。現地在住の年老いた作家サントンジュ(ジェラール・ドパルデュー)である。彼が置き残していったアウグスティヌスの自伝「告白」を読んだロベールは、退院後に再びサントンジュと言葉を交わす。ロベールが母国に養母がいることを打ち明けると、サントンジュは「帰国して家族を作りなさい。人生を捨てるには早すぎる」と語りかけるが、復讐の念に取り憑かれたロベールは聞く耳を持たない。
上等兵に昇進したロベールは、カヴァニャらとともに街のダンスホールに繰り出し、青いドレスを着た可憐なベトナム人女性マイ(ラン=ケー・トラン)に目を奪われる。酒場の娼婦であるマイは、かつて山から下りてきたロベールに無償のスープを振る舞ってくれた女性だった。その夜、マイを買ったロベールは、彼女の粗末な家で激しく体を重ね合った。
憎きヴォー・ビンの捜索に執着するロベールは、しばしば軍規を乱すようになっていた。「公私混同せず、国のために戦え」という上官の命令にも抗い、ベトナム人捕虜を使って攻撃を仕掛けようとするロベールだったが、ベトナム人にとって自由を象徴する英雄であるヴォー・ビンに関する情報はまったく得られない。
ジャングルでの果てしないゲリラとの戦いは、いっそう過酷なものになっていった。心身共に疲弊しきったロベールとカヴァニャは、阿片の陶酔に身を委ねるが、朦朧とした意識の中で敵に急襲される。もはや現実と悪夢の境目さえ曖昧な極限状況の中で、ロベールは現地の盲目の少女を犯したベトナム兵を狂ったように射殺するのだった。
ロベールのやり場のない苛立ちは、心の安らぎを見出したマイとの関係にも悪影響を及ぼしていた。あるときは力尽くで、あるときは金で「俺だけの女になれ」とマイに服従を迫るロベールだったが、彼女は「私は自由よ」と頑なに応じなかった。
駐屯地にヴォー・ビンの居場所を知っているという少年が現れ、ロベールは最後の遠征を決意する。その情報は本当に信用できるのか、それとも罠なのか。出発前夜、マイに「もう戻らない」と告げたロベールは、気心の知れたカヴァニャとともに数名のベトナム人捕虜を従え、無謀とも思えるジャングルの山越えに挑むのだが……。